私はその女の子を見送ると、手渡されたメモ書きを開いた。


>携帯電話が復旧できたので持ってきました。

受付ロビーで待っています。


メモ書きは、あの西村というライターからのものだった。

もしかすると、携帯電話のデータの中に、何か入っているかも知れない。


私は直ぐにベッドから下りると、病室の扉を開け、看護師の姿がない事を確認して急いでエレベーターの横にある階段を下りた。

エレベーターを使えば、待っている間に看護師に出会ってしまうかも知れない。


私は身体の痛みを我慢しながら、受付ロビーに急いだ。

昨夜の松山さんの事もあり、何でも良いから自分に関する情報が欲しかった。


廊下の角を曲がりロビーに辿り着くと、目の前のベンチにライターが座っていた。

「こ…こんにちは」

私が声を掛けると、ライターは直ぐに振り返った。


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