浅い眠りから目が覚めると、テレビ台に備え付けられたテーブルに朝食のパンと牛乳が置かれていた。
時刻は10時35分。
おそらく、昨夜の事もあり私はそのまま寝かされていたのだろう。
身体を起こすと、頭の痛みも身体の痛みも随分と軽くなっていた。
でも、松山さんに襲われたという心の痛みは、激しく疼いていた。
食欲などある筈もなく、そのまま呆然とベッドに横になっていたが、11時を過ぎた頃病室の扉を誰かがノックした。
「どうぞ」
私の返事に、ゆっくりと扉が開いた。中に入ってきたのは、見知らぬ女子高生らしき入院患者だった。
たじろぐ私に、その女の子はすぐ側まで歩いてきた。そして、手に持っていた小さなメモ書きを私に渡した。
「これ…受付ロビーにいた人に、渡してくれと頼まれたから」
私が差し出された紙を受け取ると、その女の子は直ぐに病室を出て行った。
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