「高宮さん?」
「いいから、早く行け!!」
私は高宮さんの声に力を得て立ち上がると、よろめきながらも小走りで通用口を目指した。
建物の外壁つたいに正面に向かうと、正面玄関の横にある通用口から中に飛び込んだ。
そこで力尽きて倒れたところを、夜間警備の守衛に助けられた。
ここまでは記憶があるが、私はその場で気を失ったらしい…
次に気付いた時には、私は病棟の自分のベッドの上だった。
どうやら守衛が連絡し、私は病棟まで運ばれた様だ。
身体を起こそうとすると、頭が割れる様に痛んだ。頭に手をやると、グルグルと包帯が巻いてあった。
私は松山さんの表情を思い出し、背筋に悪寒が走った。
あれは幻覚などではなく、現実だったんだ。
でも、なぜ私が松山さんに襲われなければならないのだろう…
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