カラカラとコンクリートで金属バットを引きずる音を立てながら、暗闇から現れたのは松山さんだった!!
「ま、松山さん…?」
私は何がどうなっているのか、なぜ松山さんがそこに立っているのか、全く理解出来なかった。
しかし、そんな私を他所に松山さんは鬼の様な形相をして、目の前で金属バットを振り上げた。
「死になさい…」
いつもの様な優しさなど、微塵も感じさせない。その冷酷な表情に、私は自分が死ぬのだと確信した。
松山さんがバットを振り下ろした瞬間、突然バランスを崩して後方に尻餅をついた。
「お前、今一体何をした!!」
松山さんの怒声が暗闇に響き、私はその隙に建物に手を掛けて立ち上がった。
「ここは僕が足止めするから、逃げるんだ」
不意に声が聞こえ、松山さんの前に何者かが立ちはだかった。
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