「殺してやる――…」
膝をつき、両手をコンクリートに立てた状態の私の頭上で、震えた声がした。
悲しみや後悔の念ではなく、明らかに怨みと怒りで力が入り過ぎて震えている。
殺される――!!
理由なんて何もないが、私は咄嗟にそう感じた。
だが、頭はクラクラし、激痛で吐き気までしている。この状態では、とても逃げる事など出来そうにはない。
それでも、バランスを崩しながらも立ち上がり、走ろうとした。
その瞬間、今度は脇腹に激しい衝撃が加わり身体がくの字に曲がって、コンクリートに仰向けに転がった。
息が出来ない。
もう立てない。
駄目だ、殺される!!
近付く人影。
病棟に現れるという噂の幽霊かと思ったが、どうも様子が違う。
それに、さっき近くで聞こえた声…
あれは――
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