薄暗い廊下を、私は非常灯の光を目指してゆっくりと歩いた。
近付くにつれて、非常口が開いている事が徐々に認識できる様になった。
非常灯の真下に立つと、非常階段の方を覗き込んだ。
真っ暗で何も見えないが、人の気配は全くしない。
それにしても、鍵がなければ開けられない扉がどうしてこんな…
ドアノブに手を伸ばし、扉を閉めようとした瞬間、何者かに背後から突き飛ばされた!!
私は非常階段の踊り場に投げ出され、手をついて倒れ込んだ。
何が起こったのか分からず頭は真っ白だったが、直ぐに立ち上がると中に入ろうとドアノブに手を掛けた。
あ、開かない!!
何…
一体何がどうなっているの!?
慌てて中を覗き込むが、人影は全く見えない。
それを確認すると同時に、一気に全身が総毛立った。そして、まるで体温が急激に下がるくらいに寒気が襲ってきた。
これは幻覚や、錯覚ではない。現実に私の身に起きている出来事なんだ!!
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