その状態のまま扉を見詰めていたが、特に変化はなかった。
扉を叩く音も、それきりしない…
私は布団から出るとベッドを下り、静かに扉に近付いた。
耳を澄ませても、外の様子は全く分からない…
私は意を決してドアノブに手を掛けると、ゆっくりと回した。そして、恐る恐る扉を引いた。
病室から廊下を見ても誰もいない。廊下に顔を出し、一直線に伸びた廊下の左右を確認する…
やはり誰もいない。
首を傾げて扉を閉めようとした時、スッと冷たい風が頬をすり抜けていった。
不思議に思い、風の吹いてきた方向を見ると、廊下の突き当たりにある非常灯から垂れる紐がユラユラと揺れていた。
なぜ…?
疑問に思い、目を凝らしてよく見ると、開いている筈がない非常口が開いていた!!
まさか、本当に幽霊が?
頭の中を嫌な予感がグルグルと巡る。
でも、これも幻覚かも知れない…
そう思い、私は廊下に出た――
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