鏡に映った自分の首に、両手で締め付けた様に真っ赤な手形がついていたのだ!!
私はあまりの出来事に声も上げる事さえ出来ず、背後の壁まで後退りした。
な、何これは…
血のついた手で、私の首を締めた跡?
私は混乱する頭を必死で整理した。
いや、前回の床にあった血溜まりは幻覚だった。この手形も幻覚に違いない。
私は再び洗面台に近付くと、目を閉じて蛇口を捻ると勢いよく水を出し、ザバザバと首を洗った。
例え幻覚にしろ、首にこんなものがついているなんて、気味が悪い。
私が作り出すイメージなら、私が洗えば消えるかも知れない。
私は服の肩口が濡れるくらい、一心不乱に首を洗った。
「消えた…」
5分程必死で洗った後再び目を開けると、首にあった真っ赤な手形はすっかり消えていた。
幻覚だったのか、それとも本物だったのかなんて、もうどうでもいい。消えたんだから…