薬の説明を終えると、松山さんは次の病室へと移動して行った。
確かに、あの幽霊騒ぎ以降余り寝ていない様な気がする。そうか精神安定剤か…
私は寝る支度を整えると、看護師長に渡された精神安定剤を口に含み、ペットボトルのお茶で流し込んだ。
目を閉じると、自分や自分の身の回りに起きた出来事が色々と脳裏に浮かんできたが、いつの間にか眠ってしまった。
目が覚めたのは、それから8時間後の6時過ぎだった。
私は久し振りの快眠に気持ちよく目覚め、ベッドから起き上がると直ぐに顔を洗いに洗面所に向かった。
廊下や洗面所には人影はなく、まだ薄暗い廊下を横切った。
「やっぱり薬って効くんだ。こんなに熟睡したのは、入院以来初めてかもしれないな…」
しかし、清々しい朝の雰囲気も、次の瞬間一瞬にして崩れ去った。
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