ミ ガ ワ リ


「あなた、1階の受付ロビーに行ってたでしょ。薄々分かっているとは思うけど、病院は今いろいろと大変な状況だから、余り1階に行ってはいけませんよ」

いつも険しい表情の看護師長が、目を吊り上げて厳しい口調で私に迫った。

「すいません。気を付けます…」


私が頭を下げて謝り病室に向かおうとすると、もう一度呼び止められた。

「待ちなさい」

振り返ると、看護師長は私の顔を覗き込んだ。

「あなた、顔色が悪いわね」

「え…」

そうか、ライターに言われた事を考えていて、自分の置かれている状況に漠然とした恐怖感を覚えたからだ。


看護師長はそんな私に、待っている様に告げるとナースセンターに入って薬を持ってきた。

「寝る前に、この薬を飲みなさい。ゆっくりと眠れるから。体調管理が一番大切よ。きちんと睡眠をとりなさい」

そういえば、最近余り寝ていない様な気がする。


私は薬を受け取ると、そのまま病室に戻った。


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