覚悟…?
私が病院に運ばれるきっかけとなった出来事に、そんな深い理由があるというの?
私は意味が分からず、呆然とライターの背中を見送った。
自分の病棟に帰りながら、私はもう一度考えた。
私が道に倒れていて、病院に運ばれた事はまず間違いはない。それに、記憶を失う程強く頭を打っていた。
一体何があったのだろう…
そういえば、さっきのライターはいつだったか私に「記憶を失って良かったね」と言った。
記憶を失った方が良い様な出来事って、一体何だろう…
そんな事を考えているうちに、私は病棟に着いていた。
受付ロビーは一種異様な雰囲気だが、ここはいつもと変わらない。
私がナースセンターを通り過ぎ様とした時、不意に呼び止められた。
「ちょっと待ちなさい」
声のした方を向くと、看護師長が立っていた。
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