ライターは直ぐに振り返り、私を確認すると立ち上がった。
「何か凄く早かったね。そんなに慌てなくても、この雰囲気だと病院関係者は、ロビーには来ないから」
そんな事を言われても、預けると決めたからには早く渡さないと、看護師長に見付かると止められるに決まっている。
私は手にしていた携帯電話を、ライターに手渡した。
「これ…お願いします」
「分かった。2、3日中には復旧させて持って来るから。
それで…
そのお礼と言ってはあれだけど、携帯電話を持ってきた時に、今回の飛び下りについて知っている事を教えてくれないかな?」
私は飛び下りの事を言われ、一瞬驚いて身が縮んだ。
でも、そういう条件ならば、このライターは必ず携帯電話を持ってくるだろう。
「分かりました。
でも…
私の事を調べていたんじゃかいんですか?」
「君の事はもういいんだ。今は、飛び下りの方が謎が多いしね」
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