私はロビーから自分の病室に戻ると、テレビ台の中を探り傷だらけの携帯電話を取り出した。
確かに、この携帯電話の番号さえ分かれば、私が誰だか分かる。それに、アドレス帳を見れば、交遊関係も分かるに違いない。
私は携帯電話を手にすると、急いでロビーへと引き返した。
あなライターが信用できるかどうかは正直分からないが、今はあの人に賭けるしかない。
ナースセンターの前を通り過ぎる時に覗いたが、いつもと変わった様子はない。
1階の受付ロビーだけが、マスコミ関係者がいて独特の空間になっているんだ。
私はエレベーターで1階に下りると、ライターと別れた場所へと急いだ。
廊下の角を曲がりロビーに入ると、ライターは目の前のベンチに座っていた。
「お、お待たせ…しました」
私は息を整えながら、背後から声を掛けた。
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