「こんにちは」

振り返ると、そこにはあの雑誌の記者が立っていた。

「病院関係者も情報規制がされているらしくてね、記者が大勢ロビーまで入り込んでも、注意する事もなく我々との接触を避けているんだ。

まあ、お陰で君にまた会えた訳だが」


今までの私なら、ここで逃げ出す所だが、私もこの記者にもう一度会いたかった。

この記者は、私の過去を知っている筈だから。


「ああ、自己紹介がまだだったね」

そう言って、その記者はスーツの胸ポケットから名刺を取り出した。


「西村 浩介…フリーライター?」

「そう。今は週刊誌と契約しているけど、基本的にはフリーだ」

名刺を受け取ると、私はロビーを見渡した。看護師長の姿はない。

私はそのライターに、自分の事について尋ねた。


「あの…私の事について、何か御存知ですね?」


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