3人の会話を聞いて、昨夜の記憶が鮮明に蘇ってきた。そう、無理矢理忘れようとしていたあの事も、思い出してしまった。
あの時、非常灯の下で蠢いていた人影…あれは、幽霊とスポーツ刈りの男性だったんだ。
気持ち悪い程の寒気が背筋を走る――
こちらから見えたという事は、あちらからも見えた可能性が高い。
もしかして次は…
この日、高宮さんが現れる事はなく、私は1時間程して病室に帰った。
私は幽霊の事が頭から離れず、病室に戻ってからずっとテレビを点けていた。
少しでも気が紛れるからだ。
幽霊に怯えてはいたが、同時に1つの疑問も浮かんだ。
そもそも、あの幽霊は一体なぜ、この病室に現れたのだろう?
病棟に現れるという事は、この病棟に何らかの繋がりがある筈だ…
でも今はそんな疑問よりも、今夜私自身が狙われないかどうかの方が重大だ。
.