「自殺じゃねえって。あいつに自殺する理由なんて、何にもねえよ。
だって、もう骨もくっついてたし、来週退院の予定だったんだぞ。リハビリも順調で、元通りに治るっていう話だったし」
「じゃあ、私生活に問題があったんじゃねえの?」
「ないない。
同じ病室だったから分かるが、家族も彼女も毎日の様に来てたし、職場の人も早く復帰して欲しいとか言っていたし」
「じゃあ何でだよ?」
そこで会話が途切れて暫く沈黙が続き、3人には全く関係無い私も、思わず耳に神経を集中させた。
そうして、ついに1人が重い口を開いた。
「…――幽霊にやられたのか?」
「そんな馬鹿な…」
「じゃあ、どうやって説明するんだよ。
あいつは幽霊狩りに行ったんだぞ。俺は直接、あいつが病室を出る時に話をしたんだ。絶対に自殺じゃない!!」
それ以降3人共黙り込んでしまい、10分程して各々の病棟に帰って行った。
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