私はベッドの上から飛び下りると、室内を見渡した。
誰が潜んでいる訳でもないし、何か特別な物がある訳でもない。
では、あれは一体何!?
私は窓の方を向いたまま、後退りする様にして病室を出た。これは、私に解決出来る様な問題ではない。
ナースセンターに駆け込もうとして振り返ると、ちょうどそこに看護師長が立っていた。
「どうしたんですか、そんな顔をして?」
「あ、あの…
病室の床に、血溜まりが出来ているんです。私の血ではありませんし、何がどうなっているのか…」
「とりあえず、貴方はナースセンターに行っておきなさい。私が確認してみるから…」
看護師長は私をナースセンターに行く様に告げると、そのまま1人で病室に入って行った。
一体何なの…?
ナースセンターの前に立っていると、今頃になって膝がガクガクと震えてきた。
その時私は、得体の知れない何かが、自分の周りに漂っている気がしてならなかった…
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