病室に戻った私は退屈で、ベッドに寝転んだ。

だからといって、院内を少し散歩するだけの生活では、19時頃から眠るなど出来る筈もない。


そういえば、昼間の雑誌記者…

私の事を、知っている様な口振りだった。病院の関係者は、誰も私に関して知らないし、知っている事さえも話してくれない雰囲気だ。

今度会ったら、名刺を貰っておこう…


そんな事を考えながら寝返りをうち、窓際に身体を向けた時に私は異変に気付いた。

ちょうど窓とベッドの中間あたりの床に、何かが落ちている…

いや、落ちているというより――


私はベッドがら身を乗り出して、床をじっくりと見詰めた。



赤い液体が30センチ四方の床に、まるで小さな水溜まりの様になっている。

安穏とした空気が一瞬のうちに凍り付き、冷たい汗が頬をゆっくり流れて落ちてた…


私は咄嗟に自分の身体を確認したが、どこかを痛めている様子はない。

では、この血溜まりは一体――!?


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