高宮さんと別れた後、私は直ぐに病棟に戻った。

また婦長にでも見付かると、何かと煩いし…
自分が目立ってはいけない存在だという事を、自分なりに分かってきたからだ。


エレベーターを降り病室に戻ろうとした私の目に、昨日談話室で話をしていた2人の男性が写った。

2人は昨日と同じ様に、談話室に入って行った。私は昨日の話が気になって、慌てて洗面所に入った。


「だから言っただろ?」

「いやマジでビビった。正直なところ、お前の話なんか全然信じてなかったからな」

やはり幽霊話の続きを話しているみたいだ。ただ、話の内容が少し違う…


「それでお前…
もし幽霊が来たら捕まえてやるって言ってたけど、捕まえたか?」

「……いや。
あんなのシャレにならねえよ。何か刃物同士が擦れる金属音がするんだぜ?

布団から出られる訳ねえよ。無理だよ無理!!」


刃物…?


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