目を閉じている時と同じ、暗い中で眼球に直接触れる様な刺激が襲う。


手を伸ばしても何も無い空間で、私は少しずつ行動範囲を広げて行くが、やはり何も無い。

人を呼びたいが、どうすれば良いのか誰も教えてはくれない…



夢…
これは夢なの?



冷たい…

右腕が冷たい…


ゆっくりと薄目を開けると、見知らぬ人の薄ら笑いが見えた気がした。

私を冷酷に見下ろし、口許に白い歯が僅かに見える…



右腕が冷たい…


右腕が冷たい。


今度は力強く目を見開くと、重い首を持ち上げ自分の右手を確認した。



私の身体に繋がる、無数の透明な管が目に飛び込んできた。



ここは…どこ?


は一体なぜここにいるんだろう…
ここはどこなの?


冷たく感じる右手の方を見ると…

手の甲に差し込まれた点滴の管が、ベッドの横に立てられた鉄製の点滴を掛ける台へと伸びていた。


……病…院?


そんな事を漠然と考えている間にも、右手はドンドン冷たくなっていく…


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