「あの松山さん…
変な事を聞くんですけど、私は記憶を無くす程の衝撃を身体に受けていますよね。
その影響で、幻覚を見たりという事があるんですか?」
私は体温計を脇に挟み、松山さんの回答を待った…
「そうねえ…
私は先生ではないから詳しい事は分からないけど、あるかも知れないわね。
突然そんな事を聞いてくるなんて、何かあったの?」
「うん…
今朝起きたら、テレビ画面に血が…」
松山さん…?
「それは幻覚よ。
そんな事が、現実的にある筈がないじゃない。
一応先生にも聞いておくけど、やはり頭も強く打ってるし、そういう事もあると思うわよ」
その時電子音が鳴り、私は松山さんに体温計を手渡した。
松山さんは手にしていた黒いボードに挟んである紙に体温を記入し、笑顔で手を振りながら出て行った。
「まあ、余り気にしない方が良いわよ!!」
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