由衣は確認もせず、既に私が死んでいるものと思い込み、自分の計画が見事に成功した為、悦に入ってしなくても良い説明をした。
当然、私に記憶が戻っている事など、想像すらしていなかった。
私は右手に握り締めていたあの包丁を、迂闊に近付いて私の顔を覗き込む由衣の胸に突き刺した。
左胸に刺さった包丁は、私の顔に血しぶきを浴びせながらも、深々と刺さって抜けなかった。
膝をついて踞る由衣が、左胸に刺さった包丁を呆然と見詰めていた。
そして吐血して叫んだ。
「いやあぁぁぁ――!!」
私はゆっくりと身体を起こすと、由衣を見下ろす様に立ち上がった――
.



