ミ ガ ワ リ


一瞬意識を失いそうになったが、なんとか踏みとどまり、それでも前に進んだ。

足からの出血もまだ止まらない。首筋にはガラスの破片がまだ残っているのか、益々痛みが増してくる。

腕の傷口は自ら広げてしまい、一度は止まった血が溢れだしている。呼吸は何とか出来るものの、脇腹には既に痺れて麻痺し感覚が無い。

もう目が霞む…


男はやり返した事で満足したのか、それとも更に遊ぶ事にしたのか、さっきの様な勢いでは追ってこなくなった。

私は足を引き摺りながら、懸命に走った。でも、もうそれでも歩くよりも少し速い程度だ。


もう誰かに助けを求めるしか、逃げる方法はない。

由衣…
由衣に電話を――

あ…あのライターの車まで辿り着ければ、携帯電話が運転席の横に挿してあった筈だ。


私は朦朧とする中、重い身体を無理矢理動かして、駐車場に向かった。


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