もう、一体身体のどこが痛いのかなど分からなかった。ただ痛くて苦しくて、目の前の事態に絶望していた。
そんな私に、もう1つ痛みが増えようが、関係無かった。
殆ど条件反射的にその矢を引き抜き、男の足に思い切り突き刺した。
怒声とも悲鳴ともつかない声を上げた男は、思ってもいなかった反撃に2、3歩よろけながら後退した。
その隙に全身に力を入れて立ち上がると、もう一度走り出した。
でも、もう駄目だ。
どこに逃げても絶対に捕まる。
も、もう限界――…
「許さねえぞお!!」
ずっと冷静だった男が、後方で雄叫びを上げた。その声が建物に反響し、恐怖で私の足は急激に動かなくなった。
逃げなくては…
そう思っても、足がなかなか前に進まない。
そんな私の背後から、物凄い速さで男の荒々しい呼吸音と足音が近付いてきた。そして足がもつれる私の肩口に、先程の矢を思い切り突き刺した!!
「はーはっは!!
返してやるぞ!!」
.



