しかも、今度は全速力で走ってきた!!
こんな足で、男の足の速さから逃げられる訳がない。
必死で走ったが、第3棟のすぐ出前で追い付かれ、警棒で右脇腹を思い切り殴られた。
特殊警棒は伸縮自在の鉄製の棒で、伸ばせば1メートル位になる。こんな物で力任せに殴られれば、無事では済まない。
ちょうど肋骨のすぐ下に警棒は食い込み、私の身体はくの字に折れ曲がり、その反動で植え込みに頭から突っ込んだ。
息が出来ない…
内臓に直接与えられた衝撃で、嘔吐を催し、仰向けに倒れたまま口内に胃液が充満する。
そんな私の目の前に男は仁王立ちし、見下ろして言った。
「40万円は無しにしてやろう」
そして、手にしていた警棒を高々と振り上げた!!
死ぬ――…
そう覚悟した時、右腕に刺さっていたボーガンの矢が目に入った。
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