机で跳ね返った分だけ威力は半減したが、逆に中途半端に刺さり、それが気を遠くなる様な激痛を生じた。
食い縛った唇から、苦い鉄の味がし始めた。
激痛に耐え出入口に辿り着くと、扉を大きく開けて外に飛び出して出入口のすぐ側に身を潜めた。
近付く足音、頭痛がする程に速く打ち付ける鼓動…
チャンスは一度きりだ。
男の足が廊下に出た瞬間、私は全体重を乗せて体当たりをした!!
予測していなかった事態に、男は側面から床に転げ落ち、ボーガンを手放した。
「やるなあ」
男は殆ど動揺した素振りもなく、冷淡に呟いた。
私は床に転がったボーガンを奪うと、振り向きもせず正面玄関に向けて走り出した。
そして再び外に出ると、植え込みにボーガンを捨てた。
とりあえず、これで遠距離から狙われる事だけは避けられそうだ。
そう思ったのも束の間、振り返ると男は今度は手に、特殊警棒を握っていた。
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