「見付けたぞ」
不意に背後から声がし振り返ると、そこにはあの目出し帽の男が立っていた。
ここまで来たのか!!
暗闇に慣れたとはいえ、私には相手の姿が殆ど見えなかった。
足音が、徐々に近付いてくる…
男がちょうど建物に取り付けられたライトの元を通り過ぎる時、妙なゴーグルを着けている事に気付いた。
「見えるか?
これは夜行性動物を鑑賞する為の、赤外線ゴーグルだ。お前の姿は、俺からはよく見えるぞ」
そう言うと、本当に私の方に向かってボーガンを構えた。
私は咄嗟に台車の陰に隠れ、矢はライターの死体に突き刺さった。
「逃げろ」
「え…?」
「狩りは、獲物が逃げないと面白くないだろ」
狩り?
私を狐狩りでもする様に、追い詰めて殺すつもりなんだ!!
男が再びボーガンを構えた――
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