再び台車の所に戻ると、サークル棟に向かって押し始めた。
3分の1辺りまで辿り着いた時、台車の車輪が排水口の鉄格子に嵌まり動かなくなった。
私は体重をかけ、台車を前進させ様としたが、後輪が浮き上がり、死体が転げ落ちてしまった。
私は台車を鉄格子から外すと、もう一度積み直そうと身を屈めた。
その時――
私の脳裏に、再び過去の出来事が浮かび始めた。
私は過去に、これと同じ様な場面を見た事がある。
深い闇の中を必死で走る私。木を避け、草を掻き分けながら、ひたすら国道を目指す…
ああ、これは病院で見た夢と同じだ。
でも――
これは変だ。
4人を交通事故に見せかけて殺害する事を依頼したのならば、今私が見た過去の自分…
手を血で真っ赤に染めた私は、存在しない。それにあの血で黒ずんだ服も、ある筈がない!!
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