その夜…
私は奇妙な夢を見た。
私は暗闇の中を、独りきりで必死に走っていた。
周囲は真っ暗で、当然の様にどこかは分からない…
ただ私はひたすら、呼吸が出来ない程苦しくても、走り続けた。
振り返りなどしない…
そして、街灯などの灯が全くない、気味が悪い道路へと飛び出した。
周囲は静寂に包まれ、左右どちら側も道路は暗闇に飲み込まれていた…
苦しい…
苦しい…
息がもう出来ない!!
私は余りの苦しさに目が覚め、真っ暗な病室の中で、ヒューヒューという呼吸音と共に上体を起こした。
今の夢は、一体何だったのだろう?
深層心理に眠る記憶の断片だろうか。
それとも…
呼吸が整ってくるにつれ、かなり嫌な寝汗をかいている事に気付いた。
額など汗が玉の様になっている…
右手で汗を拭うと、手の平がジットリと気持ち悪い湿気にまみれた。
あれ…?
手の汗を見ると、何か色が着いている様に思えた。
しかし、病室自体が真っ暗で何色かまでは判別出来なかった。
部屋の灯は、扉の横にあるだけだ。
わざわざ確認するまでもないと思った私は、そのまま再び布団に潜り込んだ…
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