ミ ガ ワ リ


真っ赤に染まった包丁を手にしていても、私の心は穏やかだった。

罪悪感も高揚感も無く、ただ、何とも表現し難い不思議な感覚に捕らわれた。


この感触は、以前感じた事がある。

肉をえぐり、骨と骨の間に刃先が滑り込む感触…


なぜ?



私はライターのを死体を見下ろしながら、どう処理するかを考えた。

とりあえず部室に運び、ビニール袋を被せておいて後で考えようか…


私は一度サークル棟まで行くと、ゴミ袋と台車を探して戻ってきた。

そして死体を丸めてゴミ袋3枚で包み込むと、台車に乗せた。


「ふう…」

後はこれを部室に運ぶだけだ。だが、あの階段をどうやって運べば良いのだろうか?


ん…?

その時、停めてある車の横に、手帳らしき物が落ちている事に気付いた。

私はその場所まで歩いて行き、それを拾い上げた。


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