暗闇の中にオレンジ色の灯りが、まるで蛍の様に明暗を繰り返す。
それは何も無い駐車場では、冥界から呼び覚まされた鬼火にも見える…
私は懐から包丁を取り出すと、布巾を取り払い両手で握り締めた。
冷静か?
平常心を保てる状況にはないし、チャンスは今しかない。
私はオレンジ色の灯りを目指し、静かに歩み寄った。
そして、2メートル程の距離まで近付くと、スピードを上げ、右側面から勢いを利用して包丁を差し込んだ――!!
血しぶきが舞い、一瞬にして暗闇に消える。
包丁をえぐりながら引き抜き、再び差し込む。2度、3度…
繰り返す度に低くなる標的。7度目に包丁を突き立てた時には、座り込んで地面を刺す様に振りかぶった。
やがて動く物は無くなり、オレンジ色の灯りだけが風に吹かれ転がって行った――
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