「助けて下さい!!」

いくら声を張り上げても、中からは誰も出て来る気配はない。


カウンターの隅に置かれたプレートを見ると、「19時以降は以下の番号に電話して下さい」と書いてあった。

誰もいない!?


外の様子が気になり振り返ると、男が自分の方に狙いをつけボーガンを構えていた。

咄嗟に屈むと、矢はガラスを貫通し、カウンターの側面に深々と突き刺さった。

「無駄だよ、無駄」と言わんばかりに、人差し指を突き出して左右に振る。


私はカウンターを乗り越えると中に入り、途中の簡易キッチンで包丁を抜き取ると布巾で包み懐に忍ばせた。

いざとなれば戦うしかない。


そして男が追ってくる前に、裏口から外に飛び出した。

駄目だ…
このままだと、いずれ捕まる。


諦めかけていたその時、再び自宅方向に向かって走っていた私の隣に、1台の車が止まった。


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