「じゃあ、きっとまた会う事になるから」
そう言い残すと、その男性は待ち合いロビーの方向に走り去った。
また会う…?
男性が走り去ると同時に、看護師長が私の元に辿り着いた。
「全く、油断も隙もありはしない。
あなた、変な事を話したりしなかったでしょうね?」
「いえ、特に何も…」
看護師長は大きく溜め息を吐いて、私の肩に手を置いた。
「今の男性には、絶対に関わっては駄目よ!!
それと、用事が済んだら直ぐに病室に戻りなさい」
何の事か全く意味が分からなかったが、確かに何となく気味が悪かった…
私は素直に頷いた。
「はい」
私は直ぐにエレベーターの所に行き、病室に向かった。
病室に戻ると、手にしていた100円玉をテレビの横に積み重ね、ベッドに腰を掛けた。
そしてふと視線を落とすと、その先の携帯電話に目が止まった。
そうだ!!
携帯電話になら、私の事について何か情報が入っているに違いない。
私は2つ折りの携帯電話を手にした…
よく見ると、携帯の塗料が剥げ落ちるほどの酷い傷が所々についていた。
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