どれくらい時間が流れたのか、放心状態の私の頬を冷たい風が叩いた。
私はやっと正気を取り戻すと、室内を見渡した。
ガラスの破片が電灯の光を反射し、床中で痛々しく輝き…
その中心にある石は、私の額に裂傷を作った後、何事も無かったかの様に沈黙している。
粉々に割れた窓ガラスからは冷たい風が吹き込み、カーテンを激しく揺らす。
なぜ…
要求って何?
立ち上がり、部屋中に散らばったガラスを拾い集めながら、私は考えた。
要求…今の私に考えられる答えは2つ。
1つは、昨日届いていた意味不明のメール。そしてもう1つは、昼間に会った漫画研究会の藤田だ。
「痛っ…」
ガラスの破片が指に突き刺さり、溢れ出た血が指先に赤い球体を作り出した。
それを見た瞬間、フラッシュバックが起きた。
この映像は――!!
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