ミ ガ ワ リ


ただでさえ薄気味悪いのに、日が暮れると更に心細くなった。

知り合いがいないという事は、助けてくれる人がいないという事を意味していた。


携帯電話を手にし、実家に電話をするが相変わらず誰も出ない。由衣に電話をしても、バイト中なのか留守番電話だ。

私は怖さを紛らす為にテレビを点けて、ボリュームを上げた。


もしかするとストーカーかも知れないと思ったが、1ヵ月以上いなかった私に、そんなものがいるとも思えなかった。



何事も無く時間は過ぎ、23時を過ぎた頃――

そろそろ眠りに着こうかと部屋の灯りを消した瞬間、窓に何かが当たる音がした。

それはコガネムシが窓ガラスにぶつかる程の小さな音で、コツンコツンという程度のものだった。


しかし今は10月だ。コガネムシがいるとは思えない。

ゆっくりと窓ガラスに近付き、カーテンを少し開けた…


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