辞める…
でも、あの部室が無くなると、様々な事の手掛かりを失ってしまう。
「直ぐに返事は出来ません」
「チッ…」
藤田は軽く舌打ちすると、音を立てて立ち上がった。そして、私の横を通り過ぎる時に呟いた。
「お前も交通事故に遭うぞ…」
その言葉に反応して振り返ると、藤田は既に人ゴミに紛れて分からなくなっていた。
「部室か…」
そう呟くと、私は講義室へと向かった。
それにしても、担当医は徐々に記憶が回復すると言っていたが、未だに断片すら思い出せない。
私の記憶を呼び覚ます鍵は、一体どこにあるのだろう?
私はその後、15時まで講義を受け、それから真っ直ぐ帰宅した。
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