「ん、いいよ」
「ごめん。じゃあ、お願いね!!」
毎日バイトなんて、どうしてそんなにお金が必要なのだろう?
由衣は定食を食べ終わると、直ぐに学食を出て行った。
すると、由衣が立ち去る時を待ち構えていたかの様に、私の目の前に何者かが座った。
「円城!!」
この人は確か、漫画研究会の部長…藤田だ。
「何ですか?」
「チッ、何ですか?とは、猫を被るのも大概にしろよな。調子狂うよまったく。
あの部室、漫研に明け渡してくれないかなあ?
うちは人数多いし、狭いんだよな。
演劇、もうお前1人だし、辞めてくれれば良いんだけどさあ」
1人?
「1人って、井上さんがいるじゃない?」
藤田は爬虫類の様に嫌らしい笑みを浮かべると、粘っこく言った。
「あいつは1ヵ月前に辞めたよ。皆が死んで怖くなったんじゃないのお?
円城、お前も辞めちまえよ」
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