私は自動販売機で切符を買わなければならなかった為、ホームに入った時には既に由衣の姿は無かった。
私は陸橋を使い下りホームに行くと、5分後に着いた電車に乗り、地蔵崎駅に向かった。
高宮さんの母親の様子では、私は何度も会っている雰囲気だった。
私と高宮さんの関係は、一体どんなものだったのだろうか?
車窓から見える景色は、ビルや店舗等の近代的な鉄筋コンクリート造りの建物から、徐々に木造の民家になってきた。
電車は、郊外の住宅地域に向かっている様だ。
20分程電車に揺られ、地蔵崎駅に到着した。
私は改札に向かったが、よく考えてみれば私は高宮さんの母親が分からない…
切符を渡し、改札を出た所で思案していると不意に名前を呼ばれた。
「麻弥ちゃん」
声がする方を見ると、40歳から50歳位の後ろで髪を結んだ細身の女性が立っていた。
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