エレベーターは他に誰も乗っている人はなく、私一人が静かに1階まで下りた。
エレベーターを下りると少し広い空間があり、左右に伸びる廊下を右側に20メートルほど進んだ場所に売店はある。
病院の売店といっても、ここは大きい総合病院らしく、入院患者が利用する為に意外と品揃えは豊富だ。
私はスタスタと廊下を歩いて行くと、通常のコンビニの半分ほどある売店のレジに向かった。
点滴を持ち歩いている患者や、車椅子の患者を避けながらレジに行くと、両替を申し出た。
「両替なら、入口辺りに置いてある機械でして下さい」
60代前半と思われる店員に素っ気なく対応され、少しムッとしながら両替機に向かった。
両替機は結構旧式で紙幣の取り込みが悪く、私の苛々は更に増した。
どうやら私は、元来気が短い性分らしい…
それだけは明らかになった。
ジャラジラ…
チャリーン。
しかも受け皿がいい加減で、3枚の100円玉が床に散らばった。
「もう!!」
残りの100円玉を左手に握り、落ちた100円玉を拾う。
1枚、2枚…
あれ?
残りの1枚は…
「はい」
見知らぬ男性が、私に100円玉を差し出した。
.



