「藤田部長、引き上げ準備出来ましたよ」

「よし、行くぞ」

「あ、あの…」

私が話し掛けると、藤田部長と呼ばれたその男性は露骨に嫌な表情をすると、返事をする事も無く背を向けた。

「チッ、折角部室が広くなったと思っていたのに、円城がまだ残っていたか…」

そして、ブツブツと独り言を溢しながら去って行った。


1人ポツンと部室に取り残された私は、グルリと室内を見渡した。

壁際に設置された本棚には脚本らしき物が並び、一番奥の窓際にあるテレビにはビデオがセットされ、無数のビデオテープが散乱している。


私は壁に貼られている写真の中に、自分の姿を見付けた。

近寄って見ると、私の他に5人。1人は由衣、そして――


「高宮さん!!」

その中に、私は病院で出会った高宮さんの姿を見付けた。

これは一体どういう事?


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