私は意味が分からず首を傾げたが、それほど気に留める事はなかった。
それよりも、私も自分の目的を果たす為に行動しなくてはならない。
講義の日程すら分からない私は、まず演劇部の部室を訪ねる事にしてキャンパス内に入った。
学部が多い為か、キャンパス内は建物が5棟あり、広さも十分に野球場が5つは取れそうな程はあった。
講義中なのか学生の姿は少なかったが、建物のすぐ側にある、ベンチに座っている女性2組を見付けて声を掛けた。
「あの…演劇部の部室って、どこにあるか知りませんか?」
1人は首を横に振ったが、もう1人が指を差した。
「演劇部は知らないけど、文科系サークルは、あの建物に集まってるよ」
その指し示す方向を見ると、敷地の一番奥にグレーの建物が見えた。
「ありがとう」
私は軽く頭を下げると、その3階建ての建物に向かった。
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