大学は目の前に見えていたが、最後の登り坂を見て私は車に便乗した。
病み上がりの私には、とても一気に登れそうな雰囲気ではなかったのだ。
坂道を登りながら、私はライターに尋ねた。
「この学校に何かあるんですか?」
「ん…まあね。まだちょっと話せないけど」
このライターが追っているのは、常に特ダネになりそうな事件だ。この学校にそんな事が…?
5分も経たない内に、車は大学の駐車場に着いた。適当な場所に駐車すると、私達は各々の目的の為に下車した。
よく見ると、ライターはトレーナーにジーンズというラフな服装だ。
私の視線に気付いたのか、ライターは照れ笑いをしながら自分の姿を確認した。
「ははは…
スーツ姿だと、キャンパス内を歩いてると目立つからね。
じゃあまた」
照れ笑いを苦笑いに変え、ライターはその場からキャンパス内に消えた。
じゃあまた…?
.



