マンションの狭いエントランスに入ると、直ぐ右側に郵便受けが並んでいた。


私の部屋は204号室。その番号がついた郵便受けを開けた。

中にはダイレクトメールを始め、電気や携帯電話の請求書がバラバラと床に落ちた。


腰を屈めて郵便物を拾い集め宛名を確認すると、円城 麻弥となっていた。

間違いなく、このマンションが私の自宅だ。


私は渡された鍵でオートロックの自動ドアを開け、由衣と共に中に入った。そして、コンクリートの階段をゆっくりと上がって行った。

マンションの西側の廊下からは従来の田園風景の中に、近代的な建物のホームセンターやレンタルショップが点在している様子が見えた。


その廊下を進んで行くと、グレーの扉の横に204という表札が貼り付けられていた。

私は手にしていた鍵を、ゆっきりと鍵穴に挿し込んで回した。


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