私は病棟に戻ると、夕方病室に来た看護師に相談した。
看護師は担当医に確認してみると回答すると、病室を出て行った。
でも、私にはその答えは予想出来ていた。何せ、私はこの病院のお荷物なのだから…
看護師が病室を出て行って30分も経たないうちに、清水先生は私の元にやって来た。
「友達が面倒を見てくれるから、退院したいと聞いたんだけど?」
先生の口元が、心なしか緩んでいる。
「はい」
「そうか。
本当なら、家族でもない人に任せる訳にはいかないのだが、君は家族とも連絡が取れないし…
どうしてもと言うなら、退院を許可しても良いが?」
そんなに私が邪魔だったのですか?
そんなに嬉しそうな顔をされると、止めたくなってしまう。
でも…
「はい。自分の記憶を取り戻す為にも、退院させて下さい」
こうして、2週間に1度通院するという条件で、私の退院は許可された。
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