清水先生は笑顔で私と話しはしているが、瞳の奥には違う表情が見え隠れしていた。
何となく…
いくら話を聞いても、安心するどころか息苦しささえ感じるほどだった。
何かと聞きヅライ雰囲気ではあったが、病室から出られない事には何も出来ない…私は意を決して、先生に訪ねた。
「先生…
私は病室から出てはいけないんでしょうか?」
一瞬先生の表情が険しくなったが、すぐに笑顔で私の問いに答えた。
「そうだなぁ…
余程の用事がない限りは、この病棟からは出ない様にしてね。
ただまぁ、外来の受付が済んで…
夕方くらいなら、多少散歩しても大丈夫かな?」
「良いんですか!!」
私は素直に喜んだ。
自分が一体どういう状況かも分からない上、病室からの外出禁止となると気が変になりそうだったのだ。
「ただ…」
先生は一応は了解したものの、条件を付け加えた。
「ただ、余り知らない人と話しをしない様にしてね」
はぁ?
つまり、他人と余り接触してはならないという意味だろう。
「分かりました…」
この時、私はまだ自分の身の上に起きた事について何も知らされていなかった為、言葉の意味の根底にある事情を知るよしもなかった…
.



