「彼女…っていう事は女性なんですか?」
「そう、名前は確か…井上 由衣。今週中には、時間を作ってここに来ると言っていたよ」
「井上 由衣…」
「ただ――…」
ライターはそこまで話した後、何かを言いかけて俯いた。
そして、少し考えた後で顔を上げたが、右手で頭を掻いた。
「――特ダネも貰ったし、君の素性もだいぶ調べて礼はしたし、本当ならこれで君とは縁が切れる筈なんだけど…」
そい言って、ライターは視線を逸らした。明らかに挙動不審な態度に、私は嫌な予感がした。
私には1つ大きな疑問が残っている。それは、「なぜ私が自殺しなければならなかったのか?」という事だ。
「君の事を調べていると、色々と疑問が浮かんでくるんだよね…」
やはり――
「だから申し訳ないけど、もう暫くは御世話になると思う…」
「はあ」
でも、理由はどうあれ、今の私を知っている人がいるという事は心強くはある。
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