自分を探す事を決めていた私は、余りの展開に嬉しくて飛び上がって喜びたい心境だった。
ライターはそんな私の気持ちを見透かしているかの様に、直ぐに話を続けた。
「君の大学は、鈴ケ丘大学。隣の市にある文系の私立大学だ。そこの3回生らしい」
今の私に、病院以外の地理的記憶は全く無い。隣の市と言われても全く想像もつかないが、それでも分かったという事が嬉しかった。
「それで…」
ライターの話には、更に続きがあった。
「君はその大学の、演劇部に所属しているらしいんだけど、その内の1人に連絡が取れたんだ」
「演劇部?
部員と連絡が取れた…って事は!!」
「そうだ。君の住んでいる所も、君がどんな事をしていたかも、彼女に会えば全て分かるって事だよ」
やった!!
私はついに、この何も見えない生活から解放されるんだ!!
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