ここ座って良い?と指で合図して、ライターは壁際に立て掛けられていた、折り畳み式のパイプ椅子を取り出して座った。
そうだ。さっきこの人は、私に話があって受付ロビーで待っていたと言った。
「それで、話というのは…」
「そうなんだ。
あの事件の後、病院内が騒動になっていたから中々入れなかったんだけど、君を助けたお陰で僕だけは特別に病棟まで入れてもらえたんだ。
それで話と言うのは、君の名前から何者なのか調べてもらっていたんだけど、あの日に連絡があってね…」
「え…何か分かったんですか?」
私は興奮して、思わず身を乗り出した。
「まあ、落ち着いて。今から話すから…
君の容姿からして、どこかの大学に通っていたのでないかと思って、大学に照会してもらっていたんだけど、どこの大学の学生なのか分かったんだ」
「本当ですか!?」
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