私は病院関係者の話を、ぼんやりと聞いていた。


松山さんは看護師長が刺したメスが心臓に達し、警察が駆け付けた時には既に息が絶えていた。

看護師長は松山さんが渾身の力で振り下ろした金属バットにより、頭蓋骨を骨折し脳味噌が周囲に飛び散っていたと。

私はまた、自分が生きる為に2人を犠牲にしてしまった…


それにしても、あの時私に生きろと言った高宮さんは、一体どこに行ってしまったのだろう?

聞いた話によると、MRI室には誰もいなかったらしい。
それどころか、この病院に高宮という名前の入院患者はいない…


私が看護師長に襲われた時に負った傷は傷口が小さく、思いの外浅かったため2週間程で完治すると説明があった。


私はこの傷が癒えたら、自力で自分を探す事を始めようと考えていた。

あの時高宮さんが言った「やり残した事」という言葉が、気になって仕方がなかったのだ。


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