ミ ガ ワ リ


「あの幽霊騒ぎも、2人の仕業でしょう。幽霊騒ぎを起こして、その騒動の中で私を襲う計画だったんだ…」

あの夜、私が見たのは看護師長の姿だったんだ。スポーツ刈りの男性を2人で襲い、非常階段で屋上まで連れて行き…

1人で実行したと考えれば無理があるが、2人だと全てに納得がいく――


「今更分かったところで、貴女にはどうする事も出来ないわ…」

更にもう1本、メスが右肩にも刺さった。そして続けて、右足の太股にも突き立てられた。私の足下は既に真っ赤に染まり、血の海と化していた。

私は悲鳴すら上げる事も出来ず、その場に両膝をついて看護師長を見上げた。


そうだ。
今更分かったところで、何にもならない…


看護師長が最後のメスを右手に持って構えた。その視線から、私の喉元を狙っている事が分かる。

だからと言って、もう私には逃げる力も、生きる気力も無かった…


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